自己分析 2017年06月23日
なぜ「ホームドア」がある路線とない路線があるの?知ってトクする電車豆知識⑤
「あの〜、平山さん、私、西鉄電車と福岡市営地下鉄七隈線で通学しているんですけど、どうして七隈線には『ホームドア』があって、西鉄電車にはないんですか?」
おお、なかなか鋭い質問ですね!
今回は、福岡大学商学部4年のゼミ生からいただいた疑問にお答えします。
その前に「ホームドア」について説明しておきましょう。
▲こちらは、京急電鉄空港線・羽田空港国際線ターミナル駅のものです。
「ホームドア」とは、電車とホームを仕切る可動式の扉のことです。ホームから人が転落する恐れがないので、安全上の観点から、全国の鉄道会社で設置が進んでいます。1991年に東京メトロ南北線に設置されたのを皮切りに、大都市のJR、私鉄、地下鉄で設置が進んでいます。2001年に山手線新大久保駅で、酒に酔った乗客を助けようとしてホームに飛び降りた韓国人留学生が死亡した事故や、2016年に東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、視覚障害者の方が電車とホームの間に転落して死亡した事故が、ホームドア設置の機運を高めているとも言えましょう。
実は、「ホームドア」を設置するにあたり、前提条件があります。
それは…《車両の長さと扉の数が揃っていること》なのです!
福岡市営地下鉄七隈線は、3000系という車両で統一され、扉の数が1両あたり3つです。つまり、車両が1種類で統一されていることから、問題なくホームドアを設置することができるのです。
▲福岡市営地下鉄七隈線の3000系
一方、西鉄電車(天神大牟田線)、電車1両あたりの扉の数が、以下のようにバラバラです。
・2扉:8000形
・3扉:3000形、5000形、7050形、9000形
▲こちらは、特急・急行用の西鉄3000形です
・4扉:6000形、6050形
先に上げた前提条件を踏まえて考えると、これだけの種類の電車が走っていて、扉の数がバラバラだと、「ホームドア」の設置をすすめるわけにはいかないですよね。
さらに、「ホームドア」の設置が進まない理由が、以下3つあります。
①「ホームドア」そのものにお金がかかる
②古くに開業した路線のホームは、「ホームドア」を設置するだけの強度が足りない⇒ホームの補強工事をしなればならない
③扉の数を合わせるために、車両を新しく取り替えなければならない
いかがでしょうか。
最近では、電車の扉の数に関係なく対応できる「ホームドア」やコストのかからない「ホームドア」の研究・開発が進んでいます。そうすると、今まで以上に「ホームドア」が普及することになるでしょう。
でも、鉄道ファンとしては、「ホームドア」で電車とホームを仕切られてしまうと、電車の全体像を拝めなくなってしまうという悩みが頭をもたげてしまうのですが…。これは時代の流れですから、仕方ないのでしょうかね…。